はじめてのレッスン 2話「マスターのアバター」

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■ レッスンルーム ■
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私は目の前にいる5人を見ながら、しばし考え込む。

 

今までのやり取りがあまりに自然すぎて、『人間との違い』を全く感じなかったために、つい意識から抜け落ちてしまっていたのだが、目の前にいるのは『人間の入ったアバター』ではなく、『AIプログラム』などの最先端技術によって作られた『バーチャルドール』という『人間ではない存在』だ。

 

まじまじと反応や何気ないしぐさを観察してみても、ロボットやNPCという感じはまるでしない。

本当に普通の女の子のようだ。

 

などと考えていると、いつの間にかみんなで近くに来て取り囲み、不思議そうに私の事を見ていた。

 

 

うわっと驚いて立ち上がると、5人はペタペタと私の体を触り始める。

 

ヒヨリ「マスターは本当の本当に人間なんだね~♪」

 

シズク「人間って、シズクたちと全然変わらないんだな」

 

サーヤ「逆よね。バーチャルドールが人間に近づけられて作られているのだから、似ていてるのは当然なのよ」

 

ユイナ「人間らしくなるためのレッスンの成果でもありますね」

 

アスカ「つまりは、アスカたちがすごいって事でしょ!」

 

私からすると『バーチャルドール』の方が変わった存在なのだが、バーチャルドールのみんなからすると『人間』である私の方が変わった存在という事らしい。

 

シズク「そう言えば、マスターの今の体はアバターなんだっけ?」

 

サーヤ「ねぇ、現実世界のマスターは、このアバターに似てるの?」

 

このアバターは、システィさんが用意してくれたものだから、実際の姿とは全然違うよと答えた。

 

システィさんがミコトさんと相談して、毎回レッスン内容に合うアバターを用意してくれるらしい。

正直、ゆるキャラみたいな姿のアバターしか持っていなかったので、これはとても助かる。

 

ヒヨリが、もふっと抱きついてくる。

子供というより動物っぽいなと思って、ついヒヨリの頭をなでてしまった。

 

サーヤ「ヒヨリだけ、頭なでてもらってずる~い♪」

 

サーヤが小悪魔のような笑みで、からかうように言う。

 

ヒヨリだけひいきするのは良くないという流れになってしまい、みんなの頭をなでてあげる事になった。

なんだろう、この状況……。

 

ユイナの頭を撫でると、

 

ユイナ「ありがとうございます♪」

 

と、ニコニコ笑顔でお礼を言う。

 

ニヤニヤとした笑みのサーヤに背中を押されて、私の前に来たシズクは、

 

シズク「なんか恥ずいから、なでなくてもいいよ……」

 

と言うが、そっぽを向く。

 

サーヤがちょいちょいと手で『早く撫でろ』というジェスチャーをしてくるので仕方なく、怒られやしないかと恐る恐るそっと撫でてみる。

 

シズク「ぅ~~……」

 

声にならない声をもらしながら、真っ赤にした顔をうつむかせた。

 

サーヤ「次はサーヤの番ね~♪」

 

サーヤの手の平の上で転がされてる感はいなめないが、素直に頭をぽんぽんとなでる。

 

サーヤ「頭以外もなでていいのよ♥」

 

言いながら、私の手を取って胸にゆっくりと近づけようとする。

慌てて手を引っ込める私を見て、サーヤは小悪魔的な笑みを浮かべて舌を出す。

 

最後に、なぜか不満そうな顔をしているアスカの頭をなでると、ガブッとなでていた手を噛まれた。

頭をなでさせられて噛まれるのは何だか腑に落ちないが、アスカなりの照れ隠しの表現だと思う事にしておこう。

 

バーチャルスフィア内で使用されている一般的なアバターは、痛覚や触覚はあまり反映されないようになっているため、強い痛みを感じる事はないのだが、このアバターは特別製なのか現実とあまり変わらないようだ。

つまり、アスカの噛みつき攻撃は、結構痛かった……。

 

 

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